〜歯車〜 蒼鷹†光

感情の歯車が少しずつおかしくなっていった・・・
喜びは錆付き 怒りはなくなり 哀しみは欠け 楽しみは見失った
涙が流れるときの歯車は自分の意思に反して廻り
愛情という歯車はそもそも存在しなかった・・・
人間として、もはや保てなくなってきた・・・
喜びが動かないから笑顔が消え
怒りがなくなったから体に何かが溜まっていき
哀しみがなくなったから冷徹になり
楽しみを見失ったから自覚できない
涙はとめどなく流れ、愛情なんてわからない・・・
もはや、人間として機能しないただの人形と化した
存在する意味などない、ただ捨てられるのを待つだけの人形
ふいに車が走る道路に向かって足が動くことがある
ふいに電車が入ろうとするホームから飛び降りようと足が動くことがある
しかし、いつも手が何かをつかみそれを抑える
どこかでこの世から消えたいと思っている
しかしどこかでこの世にいたいと思っている
この世で見られるという「幸せ」を見たいがために・・・

人形は現在(いま)でも探している
存在してもいい、生きてもいいと思えるように今も歯車を探している・・・
「幸せ」を見つけるまで一生懸命、歯車を探している