固く、けれども程よく柔らかい中にいた。
狭くて、薄暗くて、けれども仲間が近くにいるので嫌ではなかった
キレイな君は僕の向かい側にいた。
みんな同じようで違う。そんな中で君は一番キレイだった
ほのかにピンク色の肌、均一な色で彼女を彩っていた。
暖かくなってきたある日、狭かった部屋が壊れはじめた。
全員が日の光を浴びるために部屋を突き破るように体を一杯に伸ばした。
辺りはすでに桜色だった。
しばらくその景色に見とれた。僕と似たような姿をしているのに
集まれば鳥も人間も見とれるほど綺麗になるのだと思うと身震いした。
綺麗な景観に、君の姿がダブる。この思いを伝えたくて彼女を呼ぼうと前を向いた
そこには綺麗な景色と青い空しかなかった。
彼女は反対側へと開いてしまったのだから会うことなどできないことに今頃気づいたのだ
どうしようか…どうやっても彼女の姿すら見ることができない…たった一つ、散るという方法を除いて
ただ時間だけが過ぎていく。散るということは土へ還るということ…
たけど、このままでいてもいずれは散るのだ。
悔いが残って死ぬぐらいなら、少し早くなっても悔いなく死にたい
決心して、風と共に僕は散った。可憐に散って彼女の目に僕が移ってほしい、僕も彼女に伝えられたらいい…