〜幸せの雫・第10章〜 蒼鷹†光

彼女の答えが出る間、彼女は以前より僕と距離を置いた
それは自分の気持ちを受け止めて考えてくれてる証拠でもあった
嬉しくもあった、悲しくもあった・・・

僕は願った・・・特別な関係じゃなくてもいい
彼女を失いたくない・・・
どんな宝石よりも美しくて
どんな星よりも輝いてて
どんな海よりも深く
どんな空よりも澄んでいる
「特別」でなくてよかったのだ・・・
誰もが僕を自分勝手だというだろう
でも、誰だって大切なものを失いたくないはずだ

僕は願った・・・どんな結果でもいい、失わないのであれば
そして彼女が幸せであるのであれば・・・


ある日、彼女に呼ばれた
「あの場所に来てほしい」と・・・
胸が高鳴る
ついにこの時が来たのだと・・・

刻は夜、雲ひとつなく、不気味なぐらい月明かりが綺麗だった
彼女を見つけ、あのときのように横に座った・・・

お互い何も音を発しなかった

身動きすらせず、ただ座っていた

答えを待つ者、答えを言う者
相互関係の二人がそこにいる・・・

どれくらいたったのだろう・・・
腕の時計に目をやると1分と経っていなかった
1秒1秒が長い・・・

わずかな雲が月を隠し、辺りがさっきより暗くなる
それと同時に、彼女の口が開かれた・・・

「こんな私でいいの・・・」

それは彼女の声ではなかった
彼女が発したのだが、僕の知っている声ではなかった
僕は不安になって彼女を見た・・・

言い表しようのない表情
悲しげにも見える、怒りが満ち溢れているようにも見える
瞳には漆黒の「闇」が写っている

「あの時の私とは違うんだよ・・・それでも・・・」

僕は彼女の言っている意味が最初わからなかった
何を言っているのか理解しようとする

雲に隠れていた月が顔を出し始めた・・・辺りが明るくなっていく・・・