〜幸せの雫・最終章〜 蒼鷹†光

考えた・・・彼女の言葉の真意を・・・

月が雲を払いのけ、再び僕らを照らし始める
そのとき、すべてわかった・・・
僕は光照らされていた
彼女は・・・以前の僕のようだった・・・
月明かりがなかったせいでわからなかった・・・

「闇」

それは予想以上に彼女に棲みついていた・・・

「あの時と違う、こんな私でもいいの?」

漆黒の瞳に見つめられ、その言葉を受け取った・・・
月明かりの下、僕は答えを出した・・・

僕は彼女を抱きしめた
まるで別人に見える、彼女を
一人で色んなことを背負い
一人で傷ついてきた彼女の体を

僕は抱きしめた
彼女の中にある闇を追い出すかのように
力強く、やさしく、翼で包み込むように

僕は言った
「どんなのであろうとあなたはあなただ
闇なんか僕が消し去ってやる
傷なんか僕が癒してあげる
もぉ一人じゃない。一人で背負うことはない
あなたがいいのであれば
これから一緒に歩もうよ」

彼女は僕の首に腕を回してきた
そして泣いた
迷子になった子供のように
不安から解き放たれたいがために涙を流していた
僕も泣いた・・・
彼女が苦しんでいたことに
悲しみを分かち合うかのように

お互い涙を流した・・・

僕は彼女の肩を持ち、腕をほどかせた
涙が頬を伝い、顎で雫となって下に落ちている・・・

どちらからいうまでもなく
涙の止まらない瞳をそのままにして
まぶたを落とし
顔を近づけていった・・・

唇と唇が触れ合う
彼女の涙の色が変わる
僕の涙の色が変わる

唇と唇が重なっている
彼女の涙が雫となって下に落ちる
僕の涙が雫となって下に落ちる

月明かりに照らされながら

2つの雫はキスをした

一つの雫になり

虹色に輝き

月に照らされながら

僕たちの下へ落ちていく

落ちたあとも輝き続けた

僕らの心を照らすように
闇をぬぐうように

虹色の光が僕たちを包み込む



あれから僕たちは雫を作ることができた
虹色に輝く
僕たちを照らす雫を

そぉ

僕たちに幸せを感じさせてくれる

「幸せの雫」

今も僕と愛しい彼女、2人で雫を作っている

〜幸せの雫・完〜