〜幸せの雫・第3章〜 蒼鷹†光

闇に戻った僕は未だに闇にいる・・・
ある日、老人が闇にうずくまっている僕に向かってこう言った
「そんなところにいて楽しいのかい?」
僕は答えた
「楽しいわけがない・・・ただ、外に出たらまた傷つけられるだけだし・・・」
その答えに対してさら老人は言った
「じゃあ楽しい事はどこにある?」
僕はその問いに戸惑った・・・楽しいことって・・・
「楽しいこと、嬉しいこと、それはすべて『雫』のなかに詰め込まれているんだよ」
「雫?」
「そうだよ・・・どんなものか知らないのだろう・・・自分で考えるのだな」
そういって老人は去っていった・・・

僕はそれから考えた・・・
雫、その中にある楽しいこと、嬉しいこと・・・
そしてその雫がどこにあるのかと・・・
闇にうずくまっている僕はいつしかそれを「幸せの雫」と呼ぶようになり
それを見てみたいと思うようになった・・・
闇の中を探し、時間をかけてすべて探した
どんな姿、形かも知らない。生き物なのか、物質なのかもわからない
それでも僕は闇の中を必死で探し回った・・・
けれども無かった・・・

もぉ、限界だった・・・そもそも僕に「幸せの雫」を手に入れることなんてできないんだ
そう思い始めたある日、ふと光が少し見えるところに来た
「あの人」に連れてきてもらったことがある場所だった・・・
そこを光の住人が通った時だった・・・ふと思った
「楽しそうだ・・・」
それと同時に理解した

「幸せは・・・光の中にある」

しかし、僕はためらった・・・光の外に出て行ったら傷つく、辛いことばかりだから・・・
僕はその場でうずくまった。外にあるかもしれない「幸せの雫」を手に入れるために
どうしたらいいのか考えた。ただ、ただ、考えた。

そして僕は一つの結論に達した・・・

「僕は『幸せの雫』を見てみたい、手にしてみたい・・・幸せになりたい・・・」