〜幸せの雫・第9章〜 蒼鷹†光
彼女が連れてきてくれた場所から見えた光の世界
そこに今ぼくはいる
以前はここを闇の中から見ていたんだなと想うと不思議な感じだった

なぜ、話すのにここを選んだのか・・・
選んだわけではない・・・僕と「愛しいあの人」と話す場はここしかないと
思ったのだろう、気がつけば「あの場所へ来てほしい」と言っていた

僕は彼女を待った・・・
何を言うか、どんなことを話すか
自分の気持ちを確認して
自分の持っている引き出しをすべて開けておいた・・・


最初はごく普通の会話だった
そぉ、「友達」としての・・・
この時間が、この友達として話せるという時間がすごく嬉しかった
それと共に悲しくもあった・・・彼女が僕から離れたから『友達』になっているのだから
けれども嬉しいという気持ちはあった
いつまでもこんな時間が続けばいいのに・・・
いつまでもこんな関係が続けばいいのに・・・
もし、僕が今から話をしたらこの関係、時間は崩れるかもしれない
そう思うと、なかなか話ができなかった
話すのをやめようとさえ思った

けれども・・・
「彼女を過去から解放する。
それを果たすためなら自分が犠牲になってもいい」
この想いを確認して、僕は話を切り出した・・・

「あなたに悪いことをした・・・幸せにしてくれるために一人傷ついた・・・
あなたのおかげで闇と対抗できるようになったんだよ・・・
だからあなたは自分を責めることはないんだよ・・・」

僕は思いつく限りの感謝の言葉、自分の罪の懺悔をした
彼女は許してくれたかわからない
けれでも・・・彼女が自分を責める理由がこれでなくなった
過去から開放・・・
できたのかわからないが、少なくともよい方向には向いたのだと思えた

そしてここからは、一人の人間として、一人の男として、言葉を発した・・・

「特別な関係に戻ることはできないか」

僕は話した
彼女に対しての気持ちを
彼女に抱く率直な気持ちを一つずつ
一つずつ話していくにつれて「友達」という関係が崩れていく
一つ、また一つと話すにつれてどんどん悲しくなっていった・・・
もぉ戻れないのだと・・・

すべてを放った・・・大切なものを手に入れるために
今持っていた大切なものを犠牲にした・・・

僕はこれからどうなるのだろう・・・
彼女の気持ちがハッキリするまで
僕はいつまでも待ち続ける
彼女が僕と特別な関係になるのを断っても
それは彼女が幸せへの道はそっちに続いてると判断したのだから
それでいいのだ・・・

彼女が幸せであれば、僕はそれでいいのだ・・・
犠牲にしたことが彼女に知れたら
彼女はきっと自分を責めるに違いない
けれども大丈夫
僕はもう、あの時の僕とは違うのだ
また『ゼロ』から関係を築いていけばいい
今度は『友達』として
そのように考えられるようになったのだから・・・

けれども、大丈夫だけれども・・・
悲しまないことはない・・・
悔しいという気持ちでいっぱいになるかもしれない・・・

・・・

またしても、雫が頬を伝った・・・