〜捨て猫〜 蒼鷹†光

なぜ、私だけ捨てられたの?
兄弟はみんな温かい腕の中に包まれて
みんなの笑顔を一身に受けて去っていったのに
私だけ、なぜダンボールの中なの?

私の入ったダンボールは
沢山の石でできた階段を上ったところにある
大きな建物の下の運ばれた
そして、飼い主は去っていった

きっと迎えに来てくれる
そう信じて、私はダンボールの淵に手をかけて
顔だけ外に出すようにして親が去っていったほうを見つめていた
きっとまた戻ってくる、迎えに来てくれる
そう信じて、私は置いていってくれたミルクも飲まずに
顔だけ外に出すようにしてずっと未来を見つめていた
きっと…きっと帰ってくる
信じ続けた…いや、信じたいから…
帰ってこないなんて認めたくないから…
私を抱き上げてくれる日を信じ続けた

来る日も来る日も…私は一生懸命生きて、待ち続けた…
桜が散り、セミが鳴き、葉が赤くなり、雪が降った…
そしてまた桜が咲いた…

わたしは待ち続ける
いつか親じゃなくても、私を必要としてくる存在を…
わたしは持ち続ける
自分が必要ない存在なんかじゃないと信じる心を…